バイオ事業への参入① ヤマサ醤油と核酸

最近では、バイオ関連のベンチャー企業も数多く立ち上がっています。

日本では他業種を生業としている企業が、バイオやライフサイエンス事業に展開し、独自の技術として大きく発展して行った例が多くあります。

このブログでは、規模の大きさや成長率といったことは無視して、私個人がストーリーとして面白いと思った企業を紹介したいと思います。むしろ少し知名度の低めな企業に焦点を当てられればと。

今回はヤマサ醤油です。

名前からも一目瞭然、醤油を作っている会社ですね(笑)CMでは昆布ポン酢などが有名です。こんこんこんぶつーゆ♪

 

醤油業界

醤油は日本が誇るソウルフード(調味料)で、ソイソースまたはショユーとして世界的に展開されています。国内では醤油の消費量なんて増えないと思いますから、国内成長率は限定的で、海外展開が成長の鍵と思われます。

醤油のシェアに関しては、もちろん一位がキッコーマンです。シェアで28%くらいです。二位がヤマサ醤油なんですね。シェアは11.5%となり、キッコーマンの強さが目立ちます。キッコーマンが千葉県野田市、ヤマサが千葉県銚子市といった具合に、醤油メーカーは千葉県が多いみたいです。醤油の製法は伝統的でオリジナルなものですから、新しい醤油を作って売るぞーという新規参入はあまりいないと思います。もちろん、各地域の甘い醤油だったり、特産物が含まれる醤油をつくる企業は発生しています。ですが総じて厳しい業界だと思われます。

醤油なので、発酵つながりで味噌や酒などを展開できるのかなと素人目線では思うのですが、あまり展開していないところをみると関連性は薄いのかもしれません。

 

醤油以外の展開

醤油メーカーの醤油以外の展開ですが、メインは醤油含有の調味料のようです。こんこんこんぶつーゆ♪のようにポン酢や出汁醤油、めんつゆなどです。

キッコーマンだと他に、デルモンテブランドのトマト加工製品や豆乳なども展開しています。

醤油のメインレールから展開されるものは種類が限定的で、事業買収などにより多角化を進める戦略になっていくのでしょうか。

 

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醤油の製造と核酸

さて、そんな醤油業界のなかでヤマサ醤油は核酸に注目し、事業を広げていきます。

核酸は、DNAやRNAを構成する分子のことで、糖とリン酸から構成されるものです。ヤマサ醤油の核酸との関わりは古く、1645年の創業ののち、1957年にリボ核酸分解法による調味料製造法を発明し、1970年に医薬品製造業の許可を得ています。

核酸が現在注目されているのは、医薬品としての利用です。医薬品は、従来、低分子有機化合物が主力でしたが、現在抗体医薬と言われるタンパク質(もしくはペプチド)の医薬品が急速に開発されてきました。さらに核酸医薬も実用化され始めています。

食品としての核酸は、調味料として利用されてきており、旨味成分の一種として用いられます。

ヤマサ醤油は、醤油の旨味成分として核酸の研究を進めてきたようです。リボ核酸(RNA)を5′-ヌクレオチドに選択的に分解する酵素ヌクレアーゼP1の発見が大きなブレークスルーとなったようで、核酸関連製品のトップ企業へと成長していきます。

核酸関連物質の多くは、有用な薬理作用や生理作用を示します。修飾されたヌクレオシドやヌクレオチドは、抗がん剤や抗ウィルス剤などの医薬品の原薬(API)として使用されています。さらに近年オリゴ核酸医薬が注目されてきています。オリゴ核酸医薬には、アンチセンス、siRNA、アプタマー、デコイなどがあります。これらには修飾されたヌクレオチドが含まれています。また、天然のヌクレオシドやヌクレオチドは様々な生理学的、機能的有用性を示すので、調味料、化粧品、その他工業製品など、幅広く活用されています。(ヤマサ醤油ホームページ)

といったように、ヤマサ醤油では古くからの核酸の知識を事業へと結びつけています。

 

醤油が最先端の薬へ!

さてそんな核酸に強いヤマサ醤油ですが、なかなかの薬剤候補を見つけています。

EFdA [4′-C-ethynyl-2-fluoro-2′-deoxyadenosine]とよばれる化合物で、抗HIV核酸系逆転写酵素阻害剤としてもちいられます。

そうです!HIV(ヒト免疫不全ウイルス・エイズを発症させるウイルス)の薬です。

本剤は、抗HIV薬としてヤマサ醤油が開発したヌク レオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)で、世界的開 発・販売権は米メルク社に供与した。

横浜薬科大学の大類洋氏が東北大学で分子設計、 エイズ研究で世界でも著名な熊本大学の満屋裕明博 士らのグループと協力して発見した。

耐性の発現がなく、副作用が少なく、かつ血中半 減期が長いため1日1~2回投与が可能と期待される。

剤型は経口剤。

http://www.hamayaku.jp/images/material/56/files/EFdA.pdf

 

新しい抗HIV薬候補(EFdA/MK-8591)はこれまでの薬剤よりも、阻害標的である逆転写酵素に疎水性結合と水分子を介した親水性結合の2つによって強力に結合していることが構造学的に明らかとなり、逆転写酵素が一度EFdA/MK-8591を取り込むと、構造的なひずみを起し、それ以上のDNA合成を阻害します。

EFdA/MK-8591は、現在米国メルク社によって臨床開発されている薬剤(HIV逆転写酵素阻害剤)です。たった1錠の服用で1週間以上の効果が臨床試験で明らかになりました。さらに徐放効果を有する注射剤にすると、一度の注射で6か月以上効果が持続することも、サルとヒトで示されています。これまで毎日複数の薬剤を継続しなければならなかったHIV感染症の治療を、大きく変えることが期待されています。

http://www.megabank.tohoku.ac.jp/news/17151

醤油の製法から、かつては難病と言われたHIVウイルスの治療薬へと発展するとは思いもよらなかったでしょうね。

 

ちなみにキッコーマンもバイオで輝いていますよ。

今回はヤマサ醤油を取り上げましたが、キッコーマンもバイオ分野で貢献している企業のひとつです。

醤油の発酵技術を活かして、酵素・タンパク質の開発に強みをもっています。

例えば子会社であるキッコーマンバイオケミファ株式会社です。

キッコーマンは、醤油醸造で培った微生物培養技術と、長年にわたり蓄積されてきた遺伝子工学と精製に関するノウハウをもとに、高品質な酵素を30年以上にわたり臨床診断薬メーカーに供給しています。http://biochemifa.kikkoman.co.jp/products/rinsyou/

醤油おそるべし!

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