社会人の博士号取得に対して特別プログラムのある大学を調べてみた

社会人の博士号取得に対して特別プログラムのある大学を調べてみました。

紹介するのは一部の大学で、これ以外にもたくさんの教育機関でプログラムが用意されています。現在、社会人向けの特別プログラムの設置は増えてきています(特に国公立大学)。

その理由はなんでしょうか?

その答えの一つは以前紹介した文部科学省の中央教育審議会のメッセージだと思います。

https://researcher-gakui.com/ronpaku-79

なお、学位の国際的な通用性、信頼性の向上を図る観点から、現行の「論文博士」制度については、課程制大学院の実質化が図られ、その定着が広く認められる状況を前提として、将来的には、廃止する方向で検討することが適当である。
 ただし、廃止に至るまでの条件整備や期間についての検討とともに、相当の研究経験を有している社会人等に対して大学院において一定の体系的な教育を提供し、学位の授与に結び付ける仕組み等についての十分な検討が併せて必要である。

各大学はこの文部科学省のメッセージに従いつつあります。

なので社会人向けのプログラムが整備されている大学で論文博士を取得することは難しいのかもしれません。

一方でこれらの社会人プログラムの充実は社会人が博士の学位を得るチャンスが増えることを意味しており、歓迎すべきことだとは思っています。

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東京工業大学

大学院博士後期課程社会人大学院プログラム

企業・官庁などで社会人として活躍し、問題意識を明確に持った方を博士後期課程に受け入れる「社会人大学院プログラム」を用意しています。
本プログラムは、企業・官庁等に籍をおきながらこれまでの実績・経験を生かしつつ、産学協同の体制のもとに研究をまとめ、博士号の学位取得を目指すものであり、社会人・企業のニーズに応えるように配慮がされています。 

http://www.titech.ac.jp/graduate_school/admissions/adult.html

大学のホームページでは詳細がわからなかったのですが、物質科学創造専攻のホームページによると

1. 社会人博士コースの魅力とは?(特長と応募資格)
  • 会社に在職して仕事をしながら、博士号の学位が取得できます。
  • 博士号取得は、キャリアアップ、研究の幅を広げる、産学連携などにも有利です。
  • 入学時期は、仕事の都合に合わせて、4月か10月か選択できます。
  • 学位取得までの期間は通常3年ですが、最短1年で取ることも可能です。
  • 図書館や科学技術文献情報を随時利用でき、多分野の専門の先生から研究指導を受けながら、博士論文の作成が可能です。(学割等の特典も受けられます)
  • 応募資格は必ずしも修士課程を修了している必要はありません。修士課程修了と同等の実力があると認められれば入学できます。

http://www.iem.titech.ac.jp/?page_id=1291

とあります。

今までの業績等があれば、一年で卒業できることはメリットですね。

さらにこのコースでは企業に所属していながらの取得が前提となっています!

おそらく今までの業績がある程度ある方向けのコースだと思います。

論文博士の代わりとなる制度だと思います。

筑波大学

早期修了プログラム

「早期修了プログラム」は、一定の研究業績や能力を有する社会人を対象に、標準修業年限が3年である博士後期課程を『最短1年で修了し課程博士号を取得するプログラム』であり、“頑張る社会人”を大学として応援するものです。
本プログラムでは社会人として積み重ねてきた研究実績を元にして、指導教員から論文作成の指導を受けて博士論文を完成させます。

http://www.souki.tsukuba.ac.jp

このプログラムはまさに社会人を積極的に受け入れる姿勢が見られて素晴らしいなと思いました。筑波方面に企業があれば良いのですが、場所によっては通いにくさがネックになるかなと思ったら、東京キャンパスがあったりインターネットの個人指導ができたりするようです。

(リンク先にパンフレットで確認できます)

パンフレットには学位取得に必要な論文の条件も明示されています。

例えば、物質科学研究科の科学専攻では、筆頭もしくは貢献度の高い論文3編以上(査読付き)と明記されています。

情報公開や制度もしっかりしていて非常に好感の持てるプログラムの一つです。

私個人としてはこのプログラムが今後のスタンダードになっていくと感じています。

学位取得条件を見ると在学中の研究でこれだけの業績を得ることは不可能なので、もともと業績を持っているか、あるいは英語論文にまとめきれていない人を対象にしていると思います。

こちらも論文博士の代わりとなる制度だと思います。

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北陸先端科学技術大学院(JAIST)

社会人コース

Q9.社会人コースとはどのようなものですか?また、社会人学生とはどういう学生ですか?

A. 社会人コースは社会人のみを対象としており、講義及び研究指導は、東京サテライトで、平日の夜間及び休日に実施します
平成28年4月から、社会人コースは「東京社会人コース」としてコースを1本化しますが、2つのプログラム(先端知識科学、先端情報科学)を設け、入学後に希望のプログラムを選択できるようになります。
社会人コース入学希望者に対応する選抜試験は「社会人コース特別選抜」です。4月入学と10月入学は年間各1回実施しています。
また、社会人学生とは単に職業を有したまま在学する(している)学生の総称です。

Q10.働きながらの学修でも3年間で博士の学位が取得できますか?

A. 社会人コースの授業は原則として夜間及び休日に実施しており、研究指導も指導教員が東京サテライトに出向く他、インターネットやテレビ会議システム等も活用し、10月入学者も含めて3年間での修了を可能にしています。
なお、長期履修制度もあるので、指導教員と十分相談して学修計画を立ててください。

JAISTホームページより

https://www.jaist.ac.jp/is/working/mission.html

こちらの社会人コースは、教育も含めたコースで3年間しっかりと学習できます。

現在、目立つ業績がないけれど博士課程を取りたいという方にオススメかもしれません。

働きながら本業とは別のテーマで学位を取るというスタンスを感じます。

社会人を対象としたビジネススクールではこのような教育方法もありますが、サイエンスやエンジニアリングの課程博士としては大変珍しく素晴らしいプログラムです。

一般の方の知名度は低いかもしれません(学部のない大学院大学です)が、国立なので授業料も抑えられています。

社会人の学習意欲を満たす素晴らしいコースです。(2回言っちゃいました 😳 )

大阪大学

社会人ナノ理工学特別コース

この特別コースは、企業等におけるものづくりの研究開発に学術的実績を持ち、所属機関より博士号取得を嘱望される現役の社会人が、仕事と両立させながら、科学技術の社会性・国際性を育みつつ博士号を取得し、国際的に活躍できることを目的とするものです。
 このコースでは、大阪大学の1 年間の学び直し教育である大阪大学ナノ高度学際教育研究訓練プログラム(社会人教育)をプレ教育として修了し、所属機関により博士の十分な効果が期待できる職務に将来従事させることを強く期待される優秀な若手・中堅社会人を対象とします。
 本特別コースは優秀な社会人の学び直しと学位取得の2つのプログラムを組み合わせた先進的でユニークな社会人博士人材養成課程であり、年齢層、背景の異なる社会人と一般学生との討論、対話を通じたこれまでにないシナジー効果も期待できるとともに、博士号取得者を重要視する企業等との連携を深める事にも繋がります。

http://www.insd.osaka-u.ac.jp/nano/03_bosyu/h29.2nanoriko.html

大阪大学も平成29年春から面白いプログラムを作ってきました。

新しい制度なので調べきれていない部分もありますが、文面を見る限り企業の協力や同意がかなり必要だと感じます。

もし企業から学位取得のために大学に派遣されることが許されている環境であれば選択肢になるのではないでしょうか。

働きながら(企業に在籍しながら)取得するという場合は難しいかもしれませんので、その点は確認された方が良いかと思います。

その他にもたくさんの大学で社会人向けのプログラムが用意されています。

 

注意していただきたいのは、社会人特別選抜というもので、これは社会人であれば入試の一部を免除したりできます。という意味合いが強い可能性があります。

例えば英語の試験が免除されたりします。しかしながら在籍後は学生と同様のことを求められる可能性があり、仕事との両立が難しい場合もあります。

また、博士課程は大学よりも担当される先生(教授)の方針が強く影響します。

先生によっては制度がなくても社会人を受け入れたり、土日中心の研究が実施できる可能性があります。気になる点が少しでもあれば問い合わせて見てくださいね。

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