製薬業界の2018年問題 〜リストラの嵐〜

2019年3月25日

製薬業界では、2010年問題が以前話題になりました。

2010年問題とは、

医薬品業界において2010年前後に大型医薬品の特許が一斉に切れ、各医薬メーカーの収益に重大な影響をもたらすと懸念されている問題

wikipediaより

です。この際は、ブロックバスターとよばれる売り上げの大きな薬(ファイザーのリピトール(スタチン)など)の特許切れが問題となりました。

そして2018年は製薬業界でまたもや大きな動きが起きています。

人員削減です。

開発費の増加(新製品のタマ切れ)と薬価改定による国内市場の縮小が大きな要因となっています。

 

2018年問題は題製薬業界特有の問題

東京商工リサーチによれば、2018年の上場企業で希望・早期退職を実施した企業は過去最少の12社しかありませんでした。

http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20190115_03.html

リーマンショックの2009年は191社ですから、人材不足もあり大幅に減っています。

その一方で、そのうち医薬製薬企業は3社(大正製薬、エーザイ、医学生物学研究所)も存在します!これは上場企業に限ったもので外資その他を含めるともっと多いですし、リストラの方針を打ち出した企業も多いです。

景気ではない製薬企業特有の問題であることがわかります。

 

たとえば大正製薬では、2018年の8月に943名が早期退職に応募したというニュースが出ました。これは全従業員の15%に及んでいます。

大正製薬で人員大削減の波紋:週刊東洋経済

https://premium.toyokeizai.net/articles/-/18843

これまでのリストラは、新薬が少なくなっている状況では、MR等の営業活動を担う方々が対象となっていました。

しかしながら今後は研究開発の聖域にも及んでいます。

現にこの記事の中にも、

役員・幹部級社員の人事で、研究開発から営業担当への異動など、大胆な配置転換を実施してきた。

とあるように、研究畑から営業畑などの動きも見られています。

エーザイは3年間にわたり実施の計画が発表されています。

 

アステラス、4年ぶり早期退職募集 600人対象:日経新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3082053022052018X12000/

業務を終了する会社の従業員は計350人程度という。事業再編に伴い早期退職を実施するため、医薬情報担当者(MR)や研究開発の担当なども対象に含み、関連費用は100億円以上発生する見込み。

武田薬品がR&D部門を人員削減、外国人幹部が指摘する低生産性:ダイヤモンドオンライン

https://diamond.jp/articles/-/121816

変革の目玉である湘南研究所の研究員約1000人の処遇はまだ詳細不明だが、異動、転籍、退職などで約3分の1に減らす見通しだと関係者の間でささやかれている。

アステラス、武田も、研究開発にまで及んでいます。

 

高給の製薬大手にリストラの嵐、医療産業のエリートが選手交代:ダイヤモンドオンライン

https://diamond.jp/articles/-/174849

の記事では、

2017年末~18年は、これまで判明した内資系製薬会社(アステラス製薬)と外資系製薬会社(仏サノフィ、独ベーリンガー・インゲルハイム、米MSD)の早期退職者数の見通しの合計が約1500人に上る。

(中略)18年だけで約2000人が転職市場に放出される可能性が高い。

となっています。

 

 

さらに富士フイルムファーマに関しては、

なんと解散です。

https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/62171/Default.aspx

会社に来たら、ある会社に合併されていたとか、倒産を知らされたなんてことはありそうですが、

解散というのは正直あまり聞いたことがないです。

従業員に関しては、

従業員は約240人で、うちMRは約140人。同社広報担当者によると、本人の同意の上で会社都合退職とし、再就職支援を行う。従業員には同日から、拠点ごとに会社解散などの説明を始めた。

とあるように本体に復帰とか別の子会社へ出向ではなくて、ある意味クビだというから驚きです。

さらにこの解散の背景にあるのは、ジェネリック医薬品の不振です。

これまでの製薬会社のリストラでは、大手企業が新薬の特許切れや新薬候補の立ち消えなどによって縮小を余儀なくされたケースが多いと思われます。

ジェネリック医薬品も厳しい環境であることはわかっていましたが、今後も見通しは厳しそうです。

そのほかにも以下の報道があります。

2017年

スズケン 希望退職者は423人に 当初募集人員上回る 約半数は営業

大日本住友 生産本部の早期退職者募集に86人

2018年

サノフィ 早期退職優遇制度に定員の250人を超える応募が 若手社員も含む

研究をしたい学生の花形であった製薬企業の研究職にも、暗い影が見え始めています。

高給な製薬業界の従業員ですから、転職業界の動きも活発になるかもしれません。

製薬ではないですが、対外診断用医薬品や研究試薬メーカーの株式会社医学生物学研究所(MBL)でもリストラを実施するようです。

30名の募集ですが、従業員が298名(2018年3月31日現在)ということで約10%にあたりますので割合は大きいものです。

この流れは2018年で終わる様子はみえず2019年以降も続きそうです。続いています。

2018年問題は、2019年問題へと続く

2019年も製薬会社の構造改革が進んでいます。

鳥居薬品、希望退職者を募集 新卒採用も休止

鳥居薬品は6日、希望退職者の募集を始めると発表した。募集人数は定めていないが、契約社員などを含めた約1200人の従業員のうち400人程度を減らす方針。米ギリアド・サイエンシズと抗エイズウイルス(HIV)薬のライセンス契約を解消したことで、事業規模が縮小したことなどを受けた。2020年4月の新卒採用も休止する予定だ。

日本経済新聞電子版 2019年2月6日

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40972200W9A200C1XXA000/

鳥居薬品の全従業員1200名のうち3分の1にあたる400名の削減ですからその規模はかなりのものです!

理由は主力商品のHIV薬6製品のライセンス解消ということです。売上高の3分の1を担っていた製品群の消失のため、他社の構造改革とは異なるレアケースと言えるかもしれません。

協和発酵キリン、希望退職者を募集

協和発酵キリンは5日、45歳以上の社員を対象として希望退職者を募集すると発表した。対象となるのは現時点で生産本部に所属する社員を除く、4月1日時点で45歳以上かつ勤続5年以上の社員。同社が希望退職者を募集するのは初めてという。3月11日から28日まで募集し、6月末での退職を予定する。

対象人数は全従業員の4割に当たる約1600人。

日本経済新聞電子版 2019年2月5日

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40972200W9A200C1XXA000/

鳥居薬品と時を同じく、協和発酵キリンでも希望退職者募集を発表です。

こちらも対象者は従業員の4割:1600人という大規模リストラです。

理由としては、グローバルな事業モデルへのスピーディーな転換と国内事業基盤の強化としています。

希望退職者の募集理由について宮本昌志社長はこの日の会見で、国内事業の見通しや、製品ポートフォリオの変化、MRを取り巻く環境変化によるものではないと否定し、今後のグローバル体制への転換と国内事業基盤強化の構築のためだと強調した。現MR体制は「適正だ」と述べた。

今の戦略を進めることで我々は成長していけると考えている。しかし、これを成し遂げるには今までのやり方ではダメ。グローバルに対応できる全社的な構造改革をしなければならない。日本の市場環境は厳しいが、成長とはいかないまでも、少なくとも維持して、しっかり事業基盤をつくらなければならない。

ミクスonline 2019年2月6日

https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/66978/Default.aspx

国内事業環境の悪化は理由ではないんですかね?

17年の国内医療事業の売上高は前年比4.6%減の1978億円で、19年には国内売上高の3割を占める腎性貧血治療薬「ネスプ」の特許が切れます。ネスプに関しては自社で後発品としてオーソライズド・ジェネリック(AG)を開発し対応しますが、薬価がどの程度維持されるかがポイントになります。

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