論文博士は無くなるのか?論文博士と課程博士

博士号には二種類ある

ん?二種類?博士(理学)とか博士(工学)、博士(学術)とかいっぱいあるんでは?それではなく今回は博士号の取り方に関する2つの種類を取り上げます。

 

1. 課程博士:課程修了によって取得する博士号

授与された博士号は、甲123XXX号のように付番される。

一般に博士の場合断りがなければこちらに該当します。コース博士とも呼ばれることがあります。

 

2. 論文博士:課程への在籍に関わらず論文の提出のみにより取得する博士号

厳密には口頭試問なども博士号取得に必要です。

授与された博士号は、乙123XXX号のように付番される。

 

論文博士と博士論文は混合しやすいですが、博士論文は博士号を取るために提出する論文で、課程博士でも論文博士でも必要なものです。(一部の専攻では論文ではなく書物であったりもします)混合しやすいので、本ページでは論文博士(乙)と記載します。ロンパクなどとも呼ばれます。

 

私は、本ブログのタイトルにもあるように、論文博士(乙)で学位を取得しました。

論文の中身は企業在籍中に実施・発表した研究内容のみです。博士号の研究テーマで大学で実験したことはありません。大学に訪問したのも、挨拶、事前審査、本審査、公聴会、学位記授与、他で8回ぐらいでした。

 

論文博士(乙)は無くなるのか?

2005年6月に行われた文部科学省の中央教育審議会「新時代の大学院教育 – 国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて – 」の中で、「論文博士」について、

「諸外国の制度と比べ日本独特の論文博士は、将来的には廃止する方向で検討すべきではないかという意見も出されている」

と述べる一方、反対意見も紹介した上で、

「論文博士については、学位に関する国際的な考え方や課程制大学院制度の趣旨などを念頭にその在り方を検討していくことが適当である」

と報告されました。

二種類の博士があると言いましたが、それは日本国内のことで世界的にはほとんどの国が課程博士のみで論文博士(乙)は存在していません。日本だけでそんなガラパゴスの制度があっていいのか?という考え方は当然あるわけです。

2003年の中央教育審議会ではさらに強いメッセージでした。

なお、学位の国際的な通用性、信頼性の向上を図る観点から、現行の「論文博士」制度については、課程制大学院の実質化が図られ、その定着が広く認められる状況を前提として、将来的には、廃止する方向で検討することが適当である。

ただし、廃止に至るまでの条件整備や期間についての検討とともに、相当の研究経験を有している社会人等に対して大学院において一定の体系的な教育を提供し、学位の授与に結び付ける仕組み等についての十分な検討が併せて必要である。

文部科学省ホームページ:中央教育審議会(第31回)

3 課程制大学院の制度的定着の促進より

 

現状は、論文博士(乙)を文部科学省は黙認している状況(もちろん正しく認められた制度ですよ)ではありますが、確実に廃止される方向に向かっていくと思います。

大学としてもこのような状況ですので、安易に論文博士(乙)を出さないことが考えられます。文科省に逆らう形になりかねません。

そんな状況でしたので、私が論文博士(乙)を取得できたことは大変幸運なことだと思っています。大学や主査、副査の先生方には大変感謝しています。

論文博士(乙)は廃止される方向かもしれませんが、現時点で存在している制度ではあります。もし、あなたが論文博士(乙)の取得を目指しているのであれば、一刻も早く行動することをオススメします。

 

社会人に対して博士課程の受け入れは広がるかも

その一方で、先の中央教育審議会のメッセージでも

相当の研究経験を有している社会人等に対して大学院において一定の体系的な教育を提供し

とあります。このことは各大学が今まで以上に社会人に対して、門戸を広げ、博士を取りやすい環境にしていくことが示唆されています。

現在でも、社会人向けにプログラムを用意している大学は多くありますので、制度が整うのを待つのではなく、自分から動いてみてはいかがでしょうか?

社会人向けのプログラムは以下の記事です。

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