海外の大学院でデータサイエンス修士を取るという選択肢:MBAからMSDSへ
最近、データサイエンティスト養成を目的として、データサイエンス専攻の大学院設立ラッシュが起きています。
そんな中、海外の状況はどうなっているのでしょうか?
はじめに
”アメリカでは修士号は評価されない”、”博士号のみ評価される”といった意見を聞いたことがあるという方も多いと思います。多くの理系専攻では、大学院に進学する場合、修士で卒業する方々が稀で博士まで進むことが前提になっています。また、アメリカ企業の採用条件をみると博士卒の募集と修士卒が並んで記載されていることもほとんどありません。
ですから、修士卒は評価されないという意見は正しいとも言えます。
その一方で、MBA(経営学修士)は、修士であってもたくさんの方々が高いお金を払って入学、そして修了を目指すわけです。アカデミアよりビジネスにシフトした専門職大学院では修士号であっても高い評価を受け、転職や昇進にプラスになります。
MSDSとは?
そして最近では、アメリカを中心にMSDSの学位を取るプログラムが盛り上がっています。
MSDSは、化学物質安全シートではありません(笑)
Master of Science in Data Science です!
つまり、データサイエンス修士号というわけです。サイエンスという名前もあるようにデータサイエンスはもともと科学な訳ですが、ご存知のようにマーケティングをはじめビジネスに分野に浸透し、急速に発展しています。
修士課程であることのメリット
アメリカであっても、博士号は研究者の育成、教育の場となっており、その修了には博士論文の作成とプレゼンテーション、口頭試問(ディフェンス)などに提出・合格する必要があります。
そして、標準修業期間も日本より長いことも珍しくないようです。また、フルタイムでの参加を前提としているため、働きながら学位を取ることは困難です。
その一方で、修士課程の場合は修士論文の提出の必要がない場合も多いです。単位を必要数取得していく日本の学部のスタイルに近いものがあるようです。
そして修士課程の場合はフルタイムであれば1年から、働きながらのパートタイムでは3年程度で取得できる場合が多いようです。
パートタイムという選択肢と、期間の短さから働くビジネスパーソンにとって修業しやすく、ビジネスに使えるスキルを学べ、転職やステップアップにもメリットがあるということで人気になっているようです。
オンラインプログラムも豊富
さらに、データサイエンスはコンピューターサイエンスの一分野ということもあってかオンラインプログラムが充実しています。
下記の”Top 23 Schools with Data Science Master’s Programs”というサイトでは、オンラインコースの有無が記載されています。
University of California-Berkeley
例えば、University of California-Berkeley (UCバークレー校)では、Online Master of Information and Data Science (MIDS)とい名称でデータサイエンス修士課程があります。
Full-Time Program: Yes – 12 to 20 months
Part-Time Program: Yes
Online Option: Yes
というようにパートタイムプログラムの選択肢があり、オンラインで修業できるようです。ただしバークレー校の場合は、4、5日のキャンパスでの授業があるようです。
Johns Hopkins University
医学の名門ジョンズ・ホプキンス大学でもデータサイエンス修士課程があるようです。
Part-Time Program: Yes – two to three years
Online Option: Yes
ということで、こちらもパートタイムかつオンラインで修業可能です。
At Johns Hopkins Engineering, students can complete their coursework 100 percent online in many of our part-time programs, with new online options developed and added every term.
https://ep.jhu.edu/programs-and-courses/program-pathways/online
とあるようにオンラインのみで修了することが可能なようです!
データサイエンスに強い大学の探し方:ランキングは?
アメリカの大学を探すときにオススメなのが、U.S.Newsワールドレポートのランキングです。
今回はデータサイエンスということで、統計学(Statistics)をみてみます。
https://www.usnews.com/best-graduate-schools/top-science-schools/statistics-rankings
ということで先ほどのバークレー校もジョンズホプキンス大学も上位校であることがわかります。
このように超トップレベルの修士課程がオンラインで学べる時代なんですね!
学費は課金制?
気になる学費ですが、年間いくらというわけではなく、先のジョンズホプキンス大学では一講座あたり$1200〜4400(13万〜50万円)といったところです。取得する授業に対して学費を払う課金せいのようなシステムです。
トータルの支払いではそれなりの料金が発生しますが、MBAなどと比べると良心的だなと思います。
ヨーロッパの状況は?
ヨーロッパでもデータサイエンス修士取得のプログラムはたくさんあるようです。ただ正直、ヨーロッパの各大学でデータサイエンスのレベルとかは詳しくはわかりません。
データサイエンスという分野では、やはりアメリカが抜きん出て強いという印象です。しかしMBAではヨーロッパでも実力校がたくさん出現したことを考えると、データサイエンス領域でも将来特色ある大学が出現するかもしれません。
追記)ヨーロッパの大学の方からお問い合わせがあったのでインタビューしてみました。
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