中央教育審議会資料から読み解く国内MBA

論文博士のあり方や廃止の方針を掲げているのも、文部科学省の中央教育審議会でしたね。

過去記事です。

 

国内MBAの多くは専門職大学院ですので、文部科学省の管轄です。

こちらも中央教育審議会の資料がありますので見て行きましょう。

今回は、「中央教育審議会大学分科会大学院部会 専門職大学院ワーキンググループ (第 10 回)」の資料を確認します。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/038/

現状と課題

○専門職大学院は、平成15年度に、高度専門職業人養成に目的を特化した課程として創設以来、大学院 教育の実質化や社会人教育を牽引する役割を担うとともに、一定程度の普及定着が図られてきた。

○一方、社会(「出口」)との連携が必ずしも十分ではなく、多様化するニーズを的確に踏まえたプログラム 提供ができていない、学位の付加価値についての理解を得られていない等のため、制度導入時に期待されていたほどの広がりには至っていない

○高度専門職業人養成という観点から、修士課程と専門職学位課程の役割分担が明確ではない。

少子高齢化が急激に進展する我が国が持続的な成長を継続するため、専門性が要求され る分野において国民一人一人の労働生産性を向上させることが喫緊の課題であり、高度専 門職業人養成機能の一層の充実強化が必要

確かに、文系の学生にとって、修士(経済学)を目指すのか修士(経営学)を目指すべきかよくわからない状況ですよね。

修士(経営学)でもアカデミックが主体なのかビジネスが主体なのか混在している状況です。

普及定着と期待された広がりについては後でデータをお示しします。

お国では、日本の労働生産性の低下を喫緊の課題と捉えているようです。

現在行われている「働き方改革」もこの課題に対する政策ですね。

若干、プレミアムフライデーがすべりかけていますが・・・

 

対策

では、文科省はどのように見直しをはかろうとしているのでしょうか?

・高度専門職業人養成機能を強化する観点から、大学院全体としての議論が必要。特に、高度専門職業人養成 を主たる目的とする修士課程等の専門職学位課程へ移行を促す方策についても検討が必要。その際、専門職 大学院の設置が進んでいない、地方におけるニーズを踏まえることが必要。

となっています。

今後は文系においても、今の理系と同じように修士号が就職時に要求されるようになると思います。

現状の文系大学院は、社会人に目を向けすぎで、学士卒の修士過程を軽視しているのかもしれません。

学生のニーズが出ていないので当然ですね。

そもそも修士に進む学生が少ないので。

高度専門職業人養成を目指すのであれば、博士課程を含めビジネスではない大学院教育を見直す必要があると思います。

 

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具体的改善方策

具体例も出ています。

・関係業界の関係者など養成人材像と関連が深い者等からなるアドバイザリーボードの設置

・ステークホルダー等の参画を得た上でのコアカリキュラムの策定促進 ・社会人に対する柔軟で多様な教育機会提供、ICTの活用、博士レベルの専門職学位の検討等

・他の課程との連携を強化し、新たな取組や自らの強みや特徴を伸ばすための取組を促進する ため、専門職大学院の必置教員が他の課程の専任教員を兼務することを一定程度認めること を検討(新設の場合の時限付措置、積極的な効果が認められ、かつ、支障がない場合の恒常 的措置)

みなし専任教員の担当科目数の緩和など、適切な実務家教員の確保の促進

・ 1世界的に活躍するグローバル人材の養成、2地域の課題解決に貢献する地域人材の養成、 3社会的ニーズの高い特定の分野に強みを有する専門人材の養成といった各専門職大学院 の強みや特色を打ち出すための組織的取組を促すため、1から3ごとに定める一定の基準を 満たしたと認められる専門職大学院を新たに認定し、メリットを付与する制度を検討。導入にあ たっては、多くの分野と関連が深い経営系分野から開始することも一案

まぁ、いろいろありますし、具体的でないものも多いです。

メッセージとしては、社会人を受け入れやすくすることは今後も力を入れていく。

現在はMBAなど修士で止まっていますが、ドクター(博士号)取得できるシステムを考える。

(こちらも国際化の流れや理系と同様になっていくと思います)

優秀な教員が足りなくなる。たくさん入れば兼任しなくて済みますからね。

もし、現在社会人でMBA取得を契機に大学教員など教育職を視野に入れている方は、みなし専任教員よいうものが登竜門となるのでしょうか?理系のポスドクみたいにならないことを期待します。

その他資料としてこちらもありますので見て行きましょう。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/038/siryo/__icsFiles/afieldfile/2016/08/23/1376231_02.pdf

・専門職大学院を置く大学数及び専攻数

H22年の130校からH28年の117校と減少しています。

▪️地方を中心とした大学でのプログラムの閉鎖

▪️法科大学院の閉鎖

が原因だと思います。

MBAでは、日本大学でも人が集まらず中止に追い込まれていますし、南山大学でも新規受け入れ停止となっています。

法科大学院は一時期ブームになりましたが、弁護士などは結局は資格試験に受かることが必要なので、法科大学院へ通うメリットをアピールできなかったことが原因だと思われます。H23年からH28年の間に29校も閉鎖となっています!

その一方で、都内を中心にMBAコース自体は増加傾向です。

企業の本社が東京にあるので仕方ないですが、都心の一極集中になっています。

お隣の埼玉大学ですら、都内にサテライトを解説しています。

 

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日米のビジネススクール比較

日本のビジネススクールの数、学生数は、米国を大きく下回る。また、米国と比較 して1校当たりの学生数が小規模であり、留学生比率も低い。

当たり前ですね。向こうはグローバルのMBAを目指しています(特に欧州)。

日本のMBAは完全にドメスティックです。

授業も日本語ですし。 

これはこれで良いものだと思います。比べてはいけないものです。

一橋など一部の大学に頑張ってもらいましょう。

 

日米の企業役員等の最終学歴

米国の上場企業の管理職等の約4割はMBA取得者である一方、日本の企業役員等 は、大学院修了者が1割以下にとどまる。

これはアメリカが転職社会で日本が新卒入社の年功序列であるため出てくる問題です。

アメリカでは、ステップアップのために転職が必要で、その際に良い条件を得るためにMBAを取得します。

日本では、学卒で入社して実力やコネがあれば役員になれますし、下手に博士号やMBAを取りに行って休職などしようもんなら出世に響く可能性すらあります。

日本では、高卒の役員が23.6%もいます。

おそるべし。

果たして今後日本では、彼らの要素を学卒で補えるのでしょうかね?

 

専門職大学院における社会人比率

 平成28年でビジネス・MOT領域では(言い忘れていましたが、文科省ではMBAという言葉は使いませんよ)、社会人が89.9%です。
社会人のニーズに合っていると考えられます。
一方で、学生の人気やニーズは少ないですね。
この分野は、アントレプレナーの要素も含みますから、もう少し学生の受け入れが増えることも望ましいと思います。
 
長くなりました、このように文科省の役人さんは非常に詳しい資料を作成しています。
興味があれば、読んで見てください。
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